税務会計論
2022年1月18日税務会計論2 第13回 2022年1月18日
早稲田大学 商学部 税務会計論2
第13回目の授業です。
前半は前回に引き続いて同族会社について授業をおこない、後半は国際課税の内容に入っていきました。
事例研究=行為計算否認の要件
福岡高裁宮崎支部 昭和55年9月29日判決
同族会社がおこなった低額譲渡が行為計算否認に該当するとされた事例です。
私なりに本件をざっくり要約すると、ちょっと利益が出すぎちゃったので法人税を減らすべく、他のグループ会社に損してモノを売ったことにして損失を計上してしまおうという事例だったのではと理解しています。
第一審(鹿児島地裁)では、販売価格が単に時価を下回るだけでなく、第三者間の通常の商取引で考えうる最低の販売価格をも下回っている場合に限って、同族会社の行為計算の否認が認められるのであって、税務署側の立証が甘いといって会社側が勝訴したようです。
第二審では、税務署側がグループ会社への販売価格が異常に低価格だったことを丁寧に立証したようで、原判決取消となり、通常の販売価格との差額が売上計上漏れと認定されました。
この事例で一点面白いと感じたのは、販売した会社は損失を計上したけれども、買った会社はその分利益となるのだから、全体としてみれば税金に大きな影響なないのだからいいじゃないか、と会社側が主張したところです。
判決では、法人税は会社ごとに課税されるのであるから、合算額によって判断することはないと示されました。
国際課税
現代は金融、通信、物流などあらゆる分野で国際化が進展しており、経済活動も国際化しています。
それに伴って、税金も国際的な視点で考えていく必要が出てきました。
国際課税を考える際の視点として、以下の3つが挙げられます。
1. 国家間の課税徴収権の調整
2. 二重課税の調整
3. 租税回避(脱税)の抑制
国際課税を調整する制度として、以下の3つを勉強していきます。
1. 移転価格税制
2. 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)
3. 外国税額控除
移転価格税制
国内における同族会社の論点と似ていますね。
日本法人と国外関連会社(50%以上を所有)との間の取引において、取引価格を操作することによる租税回避を防止しようという制度です。
例えば、日本から外国の子会社に対して商品を安く売って、日本の所得(税金)を減らして、海外に所得を移転しようとする行為を規制するものです。
このようなケースでは、「独立企業間価格」(第三者間の通常の商取引で採用される価格)による取引とみなして課税されます。
移転価格税制で実務上大変なところは、独立企業間価格で取引をしたことを証明するために、その価格設定の根拠となる資料を作成しなければならないところです。税務当局から提示を求められたら速やかに提供できるように準備しておく必要があります。
この作業は「文書化」と呼ばれ、大手税理士法人や専門の会社でないと、対応が難しい業務だと感じています。
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